学校長より





森 章

     [御縁と出逢いを大切に]

逢うはずのない人と偶然知り合い、話してみると趣味や考え方に共通点があって、互いに「この人とは縁があるかも」と思ったことがある人は多いと思います。逆にあの場所に行けば必ず逢えるだろうと出掛けてみてもその人に逢えなかった場合には「あの人とは縁がなかったのかも」と思ったりもします。人との出逢いは、表裏一体なのかも知れません。

その縁、出逢いには流れが五つあります。

一、親子の縁

一、兄弟姉妹の縁

一、親戚親類の縁

一、地域社会(学校・会社)の縁

一、もっともな(偶然の)縁

親子の縁とは、産まれて最初に結ばれた最も大切な母と子の縁です。苦しみの末に産んだ我が子を抱っこし、やがて命の元の乳を授ける母親。だからこそ子は不安で泣き叫んでいたのに、母に抱かれると体内に居た時の安心感が戻りスヤスヤと眠りにつくのです。その母子を健やかに守るのが父の縁です。

子どもが生まれて来てくれたから親になれたのです。子どもがいなければ普通の男性・女性です。子どもも親がいればこそ命を授かり、この世に誕生できた縁です。

兄弟姉妹の縁とは、一人っ子は総ての愛情を自分のものにできるし、それが当たり前だと思いながら育ちます。兄弟姉妹のいる人は、兄弟姉妹の数だけ親の愛情の線があることを学びます。しかし親の愛を独占しようと、喧嘩をしたり目立つ行動で親の眼を引き付けようとしたりします。喧嘩が終われば仲良く遊び、負けん気や優しさや思いやりも養われる縁です。

親戚親類の縁とは、いつも一緒に同じ家に住む家族とは違うけれども、親の話しかたや他の人には見せない笑顔で、子どもの心に安心感をあたえる人たちとの縁です。

また、親が不安そうなとき、祝い事があったときには必ず集まって来る人たちだとも認識します。そういう親以外の大人と接する縁です。

地域社会の縁とは、家の中で育てられた子が外で地域の人と接して、自分と家族以外の集団の中で守るべきルールの存在や相手を考えた行動と発言を学ぶ縁です。

さらにいつか被害に遭うかもしれない自然災害や犯罪の予防などでは「遠くの親戚より近くの他人」との格言通り、なにか事が発生すれば地域社会は運命共同体となる縁です。

学校や会社での出逢いは生涯続く縁です。特に学生時代に出逢った人とは、互いに縁を育てる努力や我慢、妥協する勇気も必要です。人を大きく成長させてくれる縁です。

もっともな(偶然の)縁とは、親子、親戚でもなく生まれ育った地域でもなく、まして学校の同窓生や会社の同僚などの関係もない人との縁です。趣味の会や電車バスで偶然隣り合わせの席だった。旅行先で困っていたら助けてくれた人だった。それがもっともな縁(偶然の縁)といいます。多くの人がこの縁を人の縁だと思うくらい、大きな存在になる縁です。

人は一人では生きてはいられません。一人が好きだし気ままに一人で動きたいと言いながら、誰かと繋がっているか携帯で確認している現代社会です。人は誰もが本当は寂しがり屋ですから、人との御縁を大切にしたいものです。

 

(平成31年3月)

 
【ひと言】~From the Principal~
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2019/03/07

『動物に学ぶ(日本の国鳥)』

| by 教004

多くの人に「日本の国鳥は何という鳥ですか?」と質問をしてみると、タンチョウ・白鳥・トキ・雷鳥と多くの名前が挙がりますが正解の《きじ》と応えられる人の少なさに驚きます

私も日本の童話でも昔話でも多くは登場しない雉がどうして、国鳥に選ばれたのか子どもの頃に不思議に思っていました。

でもこんな話を営林署の方から聞いたことがありました。

山火事が発生すると、イノシシ・イタチなどの動物やヤマバト・ウグイス・カラスなどの野鳥も総べて逃げ出します。それは命が大切なことは動物も鳥たちも本能で判っているからだと聞きました。

山火事が鎮火し、山の点検をしていると《雉のオス》の焼けただれた死骸が残されていることがあります。その死骸は羽を大きく広げて、何かを守りながら自分を犠牲にしたような姿だそうです。気になりながら《雉のオス》の死骸を持ち上げると、その下には《雉のメス》の死骸があるそうです。羽をやや広げ首を躰の下に向けたままの姿で、いかにも母鳥が卵を抱いているかのような姿で息絶えているのだそうです。

もしかしてとおもいのこされている《雉のメス》の死骸を持ちあげると、そこには卵からふ化したばかりのヒナたちがピィピィと鳴いているそうです。その瞬間、ヒナの無事を確認した人は雉の巣の周りで無言でただただ泣き続けるそうです。

 山火事が発生すると、人も動物も鳥たちも安全な場所に逃げている。この雉だって空を飛んで充分に逃げられるのに、雉の夫婦は逃げなかった。ヒナを守るために襲い掛かる山火事の中で自分たちの巣に舞い戻り《ヒナ》に覆いかぶさり守ろうとする《雉のメス》。どんな言葉のやり取りがあったのかは判りません、どんな感情があったのかも判りませんが《ヒナ》を守り覆いかぶさった《雉のメス》のうえに《雉のオス》が羽を広げて覆いかぶさり《メスとヒナ》を守り抜こうとする。その瞬間も火の手と猛烈な煙が迫っているのに。

これが《雉》なんだよと教えてもらいました。

また『キジも鳴かずば撃たれまい』という言葉は、「雉が鳴くから猟師に鉄砲で撃たれるんだ」と言っていたがあれは違うとも教えられました。

動物や鳥のオスが躰も大きく色合いも目立つのは、雄同士の競争に勝ち抜き、雌にアピールするためですが、「雉は違うんだよ」と聞きました。

雉の夫婦がヒナを連れている時に、外敵が近づくと色鮮やかな《雉のオス》は目立つ少し高いところに上がってケ~ン・ケ~ンと鳴きます。その瞬間に外敵は《雉のオス》だけを見ることになり、猟師も《雉のオス》に鉄砲を向けるのです。

実はその瞬間こそが大事なことで《雉のオス》が、自分が犠牲になるかもしれない状況で外敵の注意を総て引き受けるのです。ここでも夫婦の間でどんな会話があったのか?どんな感情があったのかは判りませんが、目立たない色合いの《雉のメス》は、その瞬間にヒナを連れて安全な場所に逃げるのです。《雉のオス》はメスとヒナを守る為に自分を犠牲にするのです。

それを聞いて、学名もニッポニア・ニッポンと呼ばれるトキではなく、国鳥がキジであることに納得した記憶が蘇っています。

命懸けで子どもや夫を守る、命を顧みず子どもや妻を守り抜く。親戚や仲間、地域や国もこうありたいと思います。

動物や野鳥の言葉や感情は判りませんが、常に必死で、命懸けで守り守られているので、動物の世界や野鳥の世界の子ども達は親や大人に対して素直に育つのでしょうね。動物や野鳥に学びたい家族の関係です。

(平成30年12月)


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