学校長より





森 章
 
  『拘り

         〔拘りの姿〕

 
 校内でTVドラマの撮影が行われました。どんな俳優さん女優さんが出演するのかと、興味をもって撮影現場で見学をさせて頂きました。

気がつくと別な空間に、気持ちが吸い込まれていました。緊張の撮影現場では同じ台詞を何度も何度も繰り返す。目線は上、声は明るい感情をもっと出してお願いします。指先は膝の上でお願いします。と言うように撮り直しが続くのです。

撮影の前や途中では、教室を会議室のように模様替えしたり、外は晴れているのに曇りや雨の場面では、カーテンやライトの位置を変えて天候まで替えるスタッフさんの姿がありました。

ドラマが放映されるとき、撮影現場という仮想空間が、ドラマを視ている視聴者からは現実空間だと思わせるように、台詞・衣装・歩き方・髪型やメーク・小道具やセットまで《拘り》さらに《拘りぬく》空間があったのです。

ここまでやるんだ。ここまで拘るのか。役者さん監督さんや音声・メーク・衣装さん・さらにセットの係りの方や小道具の係りの方など数十人の集団が、一つのドラマを作り上げる《拘る姿》に感激したのです。

考えれば何かを作り出す会社にも、技術者とか職人さんと呼ばれる匠の人たちに、物づくりの《拘り》があったからこそ世界中でmade in Japanは信頼と安心の証になったのです。

原材料も生産者を選び、道具は製作者まで選び抜いた物を使いこなす。仕事は誰が見ていなくても手を抜かない。納得できない不安があるものは破棄し、使う人の身になって自慢できるものを作る。そのためには時間も労力も惜しまない。そのような拘りです。

そうして日本中でいや世界中が「これは凄い」と驚くものを作る。数十年後でも「いい仕事ですね」と喜ばれ称賛される技術を磨き蓄積していたのです。

学校でも『教え方や内容に拘る、結果にも拘る、教師』は、確実に生徒の力を引き上げ、互いに満足感と達成感に浸ることが出来るのです。学力がある程度低くても、教師の拘りと生徒のこのままじゃ嫌だと思う拘りで難関大学突破も可能です。スポーツのエリート集団でなくても、一つが駄目なら別な方法はないかと工夫する拘りと、勝利への拘り、諦めが悪い拘りで雑草集団に花が咲いた。こんな話は多いのです。

                  〔拘りの三要素〕

さて物づくりの世界でも、絵画美術工芸の世界でも、教育や芸術芸能の世界でも《拘り》は、人が良い方向に向かうための原動力だと思います。考えて見ると、教える人が《教えることの拘り》を持つなら、教えを受ける人には《教えてもらう拘り》が必要で、さらにそれを見ている人が《凄い、流石です。と評価する拘り》がなくては、人が育てる人材も作り出す物も良くはないのです。

何かの制作で、作者の《作る拘り》買い求める人の《良い物が欲しいと思う拘り》買い求めた作品を見た人が《これは良いものだ。作者も凄いが、これを買い求めた貴方の眼力はもっと凄いと褒める拘り》で人は成長し作品の完成度は高まるのです。

大切にしたい言葉と態度が《拘り》です。

(平成30年3月)


 
【ひと言】~From the Principal~
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2018/03/09

学校長より

| by 教004

『貴方の友人は』

 

友達の名前を一〇名書き出して下さい!と質問された時に、何名の名前を書き出すことが出来ますか?

すらすらと一〇名の名前が書ける人もいれば、悩みながら書いたり消したりしながら一〇名を書く人もいると思います。でも多くは数名の名前を書いてから、あと誰がいるんだろうと考え込んでしまい書けないのが現状です。大勢いるようで意外に少ないのが友達です。

ふつうは気が合うとか趣味が同じだとか、暇な時に一緒に居れば楽しいと思う友達は沢山います。学校や部活動が同じ、通学の電車が同じ方向だから友達だと思う人も多いでしょう。しかし、今どきだとネットで知り合ったり、ラインで友達に紹介された友達もいるようです。互いに顔を見せていないから何でも話せると思っている人も多いようですが、この場合はお互いに顔や姿を見せないで会話が進む、仮想現実の空間の連絡相手で友達ではないと思います。

本物の友達は、眼の前で顔を突き合わせて、自分が何か悩んだとき苦しんだときに相談が出来る友達。もしも間違いがあれば自分の事のように心配して顔を赤くして唾を飛ばしながら怒ってもくれる友達。大切なものを預けても、お互いに任せた、任せておけと心が通う安心できる友達。大好きな部活動を辞めなければならないとき、生活を守るための最重要な仕事を離れなくてはならないときに、悔しくて泣きながら打ち明けられる友達。試合に勝った必死の勉強が実り合格できた、もの凄く自慢したい事や嬉しいことがあった時に一番に教えたい友達は、と条件がついたら書こうとしていても、考え込んでしまい途中で書けなくなってしまうと思います。それほど本物の友達は少ないのです。少ないから価値があり大切な存在なのかも知れません。

それでも名前が書けたら、その相手の人も貴方を友達だと思っている本物の『心友』です。友達が一人なら一本の糸、友達が一〇名なら一〇本の糸と考えれば友達の数だけ糸があります。その糸を『固い絆』と呼ぶのです。貴方は何本の『固い絆』の糸を心に結んでいるのでしょうか。

 さて名前を書こうとすれば、相手の顔が浮かびます、相手の態度や口癖が思い浮かびます。眼が澄んでいて眼元に小さなホクロがあった。口元から八重歯が見える。髪は癖があってカールしていた。細身で背が高かった。小さいけどがっちりした体形だった。困ると指先でボールペンをしきり動かす。若いのに歌は演歌、成績が良いのに漫画が大好きだ。たまに怒るけど本心は優しく温かい。今は駄目男でも将来は社長になる。ハッタリは許されるが嘘は駄目だからね。同じ大学に合格しよう、今年こそは全国大会に行くぞ、絶対に目標の大学に合格して将来はビックになる…。そんな友達の顔を思い浮かべて下さい。

『類は友を呼ぶ』

友達の名前を書き終わったら、もう一度友達の性格や趣味・価値観や感性を思い浮かべて下さい。今の貴方と大きな生き方の差、物を見る価値観の差、趣味や休みの時の過ごし方の差はありましたか?考えて見れば大きな差が無いことに気づきます。

それは同じ生き方・価値観・感じ方の人と居る方が楽だし安心感に包まれるから、同じような人が集まって来るのです。同じような人が集まっている場所にあなた自身も近寄って行くのです。

勉強が何よりも楽しいし幸せだと感じている人が、スポーツ大好き体を鍛え上げることが趣味だという集団に入れば、その時から辛いし息苦しくなるのです。逆にスポーツ大好きの人が勉強大好き研究が趣味の世界に足を踏み入れたら、周りを見渡して頭が痛いめまいがするとなるのです。勉強も適当であるし部活動も集中力が不足の人は、やはり勉強も適当にやり部活動も試合が近づけば頑張るけど、まだ日数があれば言われたまま指示を受けたままをこなしている人が好きなのです。これも逆に勉強も部活も目標を定めて頑張る人は、適当に汗を流している人を見ると、イライラして腹が立ってくるのです。常識を持った人は常識を持った人を好み頑張る人は頑張る人が好みなのです。趣味や部活動が同じだと親近感が漂うのも同じです。ですから『類は友を呼ぶ』この言葉は、お互いに必要以上の気を遣わなくても安心できる関係をいうのです。

そこで一つの提案です。貴方が書きだした友達とその名前を思い浮かべると『類は友を呼ぶ』ではありませんが、今の貴方のレベル・考え方・価値観・行動の善悪などは貴方が書いた友達と同じだと気づく人が多いのです。

同時に人は誰でも今の自分には満足はしていないものです。心のどこかでは今と違う自分を探しているのです。人に認められタイ・役に立ちタイ・褒められタイの三匹のタイも同じ心境ですが、それを目標とか夢とも言うのです。貴方が将来の夢の扉を開こうとするときに、今の貴方よりも数段上の世界に道があることにも気づいて下さい。

気づいたら、自分よりも数段上の世界で頑張っている人に話しかけてみませんか?その人の真似をしてみませんか?真似が学ぶになるのです。今までの『固い絆』も大切にしながら、貴方より少し上を走っている人とも、新しい『糸』を結んでみましょう。


 (平成29年12月)

 


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